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広報・IR・リスクの専門メディア「広報会議」で「広報担当者のための企画書のつくり方入門」を連載中です。

平井彩子の「彩色兼美」〜昭和枯れすすき〜

2014.2.8 学習性無力感

 

数年前、私がサラリーマンをしていた頃、当然のように(?)組織内にはたくさんの問題が山積していた。

退職する数年の間は、その問題を「聞いてください」「なんとかしてください」と相談を受けていたし、それなりに変化をもたらそうと中堅社員の勉強会を開いたりしていた。

 

そして、皆で話し合うと、多くの人が組織に対して「どうせ何を言ってもムダ」と感じていることを知った。

これが、学習性無力感である。

 

学習性無力感というのは、

「長期間、回避不能な嫌悪刺激にさらされ続けると、その刺激から逃れようとする自発的な行動が起こらなくなること(心理学者:セリグマン)」

 

よく例えられるのは、水槽の魚。

中に透明のアクリル板を入れておいて、魚とエサを分断する。

魚はエサを食べようと反対側に行こうとするが、板が入っているので向こうにはいけない。何度チャレンジしても同じことが起きるので、そのうちエサを取りに行くこともしなくなるのである。

何をやってもエサは食べられない。と、魚が学習してしまうんですね。

 

組織も同じで、”上司が保守的すぎて、何を提案しても結局変わらない”とか、”何をしても上司に怒られるので、頑張ってもムダ”などです。

日本人お得意の”カイゼン”ですが、これでは、カイゼンできませんね。

組織内は暗くなり、上司の顔色を伺い、部下は前向きな行動を起こさなくなる。

 

ここから抜け出すには、逆の発想です。

努力がムダではないと思うために、自分で成功体験をつくる。

壮大な目標を掲げると苦しくなるので、まずは小さいところから。

毎日早起きするとか、マラソン5kmに挑戦するとか、何か簡単な資格に挑戦してみるとか、勉強のために読書を少しずつ始めるとか、・・・

こうやって自分自身に自信をつけていくことが重要です。

 

根本解決にはいたらないと思われるかもしれませんが、学習性無力感は、「何をやってもダメ」という心理状態ですから、その逆の状態を作り出せば、精神衛生は少しずつ回復していきます。

 

もちろん、「もう、こんな職場無理ーーーっ」と、心が叫びをあげるほどなら、「私は悪くない、悪いのはこの職場だ」と見限ってしまうことも必要でしょう。ただ、また次の職場でも同じことが起きる可能性もありますから、”逃げ出す”のではなく”次のステップへ上がるため”と考えないとですね。

 

また、今は簡単に独立起業をオススメする人が多いが、そんなに簡単なもんではないでしょう。

「自由になりたいから独立したい」と言っていた人もいたが、本当に独立は「自由」の獲得ですかね。

それもまた”逃げ”の発想では?

 

と、思う今日この頃。

 

プロフィール

平井彩子(ひらいさいこ)1980年東京生まれ。

中小企業診断士  独立系ソフトウエア開発会社にて、システムエンジニア、プロジェクトマネージャとして業務システムの構築現場を数多く経験。その後、中小企業向けコンサルティング会社に転職し、中小企業の経営を支える生々しい仕事を経験。2012年コンサルタントとして独立後は、経営支援、企業研修、執筆等、幅広く活動中。趣味は人間観察と梅干づくり。

コメント: 2
  • #2

    平井彩子 (火曜日, 11 3月 2014 10:43)

    ミッキーさん、コメントありがとうございます。

    私は、心理学の専門家ではありませんが、経営コンサルタントとして人材育成には携わっております。状況わかりませんが、その視点からであればアドバイスできる可能性はあると思いますよ。

  • #1

    ミッキー (火曜日, 11 3月 2014 00:59)

    最近いつも楽しみに拝見してます。
    サイドメニューに最新記事が出ていなくて読むのが遅れてしまいました。。

    平井先生は意欲と自我の関係について、実務の観点からは何かご示唆をお持ちでしょうか?
    最近、自分の意思の無さを環境の責任にしている部下が目立ち、自我発達の未熟な部下への対応に苦慮しております。

    ご意見伺えれば幸いです。