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広報・IR・リスクの専門メディア「広報会議」で「広報担当者のための企画書のつくり方入門」を連載中です。

平井彩子の「彩色兼美」〜昭和枯れすすき〜

2013.07.10 女性

 

小さい頃からワンワン泣くと「泣くな、男だろ」と親に言われたり、女の子ならば皆着ていたのはピンク色の服なのに、私だけブルーの服を着させられたり、その結果NHKの「おかあさんと一緒」に出演したときに、近所の電気屋さんが録画してくれたビデオのタイトルに「平井さん家のお坊ちゃん」て書かれたり、まぁ、こういうプチ事件(?)は枚挙にいとまがない。小さい頃からそんなことに慣れ過ぎたせいか、「女性だから」って特別視されることを自然と嫌うようになっていった。


働くようになると、色んな女性がいることを知る。必要以上に鎧をまとって仕事に邁進したり、夢を叶えようなんて言って女性はキラキラしなきゃとアピールしたり、皆なんだかムリしている感じがして(私が思っているだけだが)、正直いうと窮屈な印象を抱いていた。

そういう私の思考からすると、DeNAを創業した南場智子氏は、かつてのブログも硬軟織り交ぜた爽快な語り口調や生き方で、常に自然体な印象で大好きな経営者の一人であった。そして、その南場氏が本を出したと新聞やネットでかなり話題であったため、それならばと珍しくAmazonではなく書店に行った。が、なぜか気になったのは隣に並んでいたFacebookのCOOシェリル・サンドバーグの「LEAN IN」。

まぁぁた、女性は頑張りなさい。女性ならこう生きなさい。みたいな本なんじゃないの?と少々警戒心。だが、南場氏の本の隣に並んだシェリルは、「いや、アタシが書いたのはそんな本じゃないわ、そんなことを思っているあなたが女性を蔑視しているのでは」と、こっちを見て訴えてきたのだ。


悩む。なんか気になる。。。しょうがないなぁ。買っちゃうかぁ。

 

読み進めてまず印象的だったのは、アメリカは思ったよりも男女平等じゃないんだな、ということ。(これは、NHKに出演していたシェリルの番組を見た友人も同じことを言っていた)

 

・女性が前に出ると嫌われる

・男は仕事に野心を持つことを期待されるが、「彼女は野心家だ」は褒め言葉にならない。
などなど。

 

そして、私の心にグサリときたのが、

 

”女性は自分の業績を褒められると、詐欺行為を働いたような気分になる。罪悪感を覚え、自分はうわべだけのペテン師でそのうち化けの皮が剥がれるに違いないと思ってしまう”


という、くだりだ。

彼女がある博士の基調講演を回想して書いたものだが、実は私にも思い当たる節がある。8年勤めたシステム屋の仕事。人様に言うことでもないが、入社したペーペーの頃から私はとても良い人事評価を得ていた。でも、正直なぜ私なんかが?と思い、嬉しい半面変なプレッシャーを感じるようになった。そして、”大したことできないのに良い評価なんて、そのうち絶対化けの皮が剥がれる”と、結局8年間ずっと思い続けた。


今思うと苦しかった。特に20代後半に差し掛かると、結婚はどうするのか、仕事はどうするのか、見えない未来が不安で仕方なかった。どれもこれも頑張らないといけないと思い込み、自分で自分をがんじがらめにしていたような気がする。(あの頃の自分に、「バカ」と言ってあげたい)


そして私の場合、このつかえを吐き出してくれたのが、中小企業診断士試験に合格したことだったり、転職だったりしたのである。


ある意味逃げていたんでしょうね。結果はステップアップした風ではあるけれど、”次の場所に行けば、この苦しさから逃れられるかもしれない”って思ってたのも事実。(もちろん、世の中そんなには甘くなく、次の場所でもそれなりの苦労はあったけれど...)


と、こんなことを振り返ることができたのも、彼女の書籍のおかげだ。

 

そして、女性がなぜ鎧を纏おうとしたり、次のステップを諦めたりするのか、その理由がとてもよくわかったし、そういう自分が一番このジレンマにハマっていたと気付き、反省の念を抱いた。


一歩踏み出せ・・・か、アタシももう少しアクセル踏もうと思います。

プロフィール

平井彩子(ひらいさいこ)1980年東京生まれ。

中小企業診断士  独立系ソフトウエア開発会社にて、システムエンジニア、プロジェクトマネージャとして業務システムの構築現場を数多く経験。その後、中小企業向けコンサルティング会社に転職し、中小企業の経営を支える生々しい仕事を経験。2012年コンサルタントとして独立後は、経営支援、企業研修、執筆等、幅広く活動中。趣味は人間観察と梅干づくり。

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